北公次、逝く

フォーリーブス北公次が亡くなったそうだ。フォーリーブスは、リアルタイムでの記憶が殆どないのだが、解散した後の80年代、おりも政夫が「クイズヒントでピント」にレギュラー解答者で出演していたのと、北公次フォーリーブス時代の暴露本を出版して当時かなり話題になっていた事くらいが自分の「フォーリーブス体験」の全てであった。そういやあの頃(80年代末)は「暴露本ブーム」で、ダン池田が出していた暴露本も衝撃的な内容だった。(信憑性は何とも言えないが)
大学時代、北公次が出した暴露本、出版早々に発売中止になってしまった程世間の物議を醸したその本を古本屋で探して入手して読んでみた事があったのだが、内容は思ったより過激さは無く肩透かしを食らった感じであった。暴露的な部分よりも本来ミュージシャン志向を持つ北公次が、不本意ながらアイドルとして活動していく苦悩みたいな記述が多かったと記憶している。
脳内メモリを思い出すままに展開すると、暴露本を古本屋で買い漁っていた大学時代、自分の中で昭和歌謡ブームが起きていて、学業そっちのけで古レコード屋を巡回する毎日を過ごしていた。大抵は学校からアクセスの良い渋谷か下北沢をウロウロするのが基本で、たまに銀座数寄屋橋の「HUNTER」に遠征することもあった。銀座の「HUNTER」は在庫量がハンパないので、掘り出し物に遭遇する確率が高かったのだ。
貴重な音源を求めてさまよい歩いていた20年前がホントに無駄だったのかと思えてしまう程、今はネットで調べればいとも簡単に入手出来てしまう。(コレクターズアイテムとしてのレコード盤が欲しい場合は話が変わってくるが)
学生時代に話を戻すと、当時フォーリーブスの「ブルドック」という曲(大ヒット曲なのだがリアルタイムでは知らなかった)がスゴクかっこいいじゃんと友人と盛り上がって、古レコ屋で入手したときはテンション上がったね。昭和歌謡系のレコードを探す際、一番確実な品揃えを誇っていた店が、地元大田区の蒲田にあった「えとせとらレコード」という店で、当時は結構70年代リバイバルなムーブメントがあって、テレビ番組なんかでも昔の名曲を取り上げる機会が多く、その際必ず「資料提供」でクレジットされるのがこの「えとせとら」だった。
この「えとせとら」でフォーリーブスの「宇宙のファンタジー」というシングル盤を見つけた時は「うわあ、買おうか、買うまいか」と、人生の中でもベスト10に入る位決断に迷った。このタイトル&ジャケ写から類推するに間違いなくアースウィンド&ファイアのメガヒット曲「FANTASY」のカバーで、非常に「そそる」レコードではあったがいかんせんこれだけのレア盤、値段は¥4000くらいだったと思う。店内で長いこと立ち尽くし悩んだ結論は懐具合を重視してしまい結局買わず。
その後しばらく渋谷と数寄屋橋の「HUNTER」で「宇宙のファンタジー」を捜索してみた(HUNTERは、その膨大なストックを探す根気さえあれば、たまに激レア盤を格安で入手する事が出来たのだ)けれど、期待空しく「宇宙のファンタジー」にめぐり合うことは無かった。
そんな、自分の青春時代に意外な影響を及ぼしていた北公次さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。