軽駆逐戦車

nisi6hiroyuki2007-10-05

久々に書きます。脳内メモリの情報量はまだまだタップリあるのだが、ここんとこ脳を別方面に酷使していてメモリをデスクトップ上に展開出来なかった。という感じだろうか?
そんな言い訳は置いておいて、今日は軍ネタ参ります。
最初に断っておきますが、ミリタリー好きってメッチャDEEPな方々が多いわけで、比較すれば、まあ自分は浅学なんだが、『いい加減な知識といい加減な解釈』を今後も重要なファクターとして行きたいんです、このブログは。

本題:(WW2)ドイツ軍の装甲戦闘車両の呼称はホントカテゴリーが細かくて、そこがマニア心を刺激するのでしょうが、例えば、正式な「戦車」以外で『それに近い存在』として、「突撃砲」「対戦車自走砲」「軽駆逐戦車」「重駆逐戦車」etcあって、「これらはどんな違いがあんねん!」と関西弁を使いたくなる。今回取り上げるのはそれら諸々の「戦車とその仲間達」のなかで最も好きな「ヘッツアー」です。
この「ヘッツアー」、非常に小型な車輌で、大戦末期に実用化され、当時のドイツの工業生産力からすると割合大量生産された軽駆逐戦車である。この車輌の源流はチェコスロバキアのCKD社製造のLTvz38型戦車(ナチスドイツによるチェコ併合後にドイツ軍の正式装備の軽戦車となり、ドイツ軍呼称「38(t)戦車」として有名)であり、ヘッツアーは、この38(t)戦車のパーツをかなり流用しており、生産もチェコで行われていた。コイツのどこが好きなのかというと、「ちっちゃいけど必要な装備は完備してるし結構強い」という点に尽きる。ヴァルター・J・シュピールベルガー著、高橋慶史訳「軽駆逐戦車」(大日本絵画刊・1996年4月初版)は、この「ヘッツアー」と「四号駆逐戦車」を扱っており(パンターと同じ主砲を持つ四号駆逐戦車をして「軽扱い」ってのが重厚好きなドイツ人気質を感じる)、この本、内容濃すぎ。シュピールベルガーさんの著作はシリーズになっていて、自分が所有しているのは他に「重駆逐戦車」「突撃砲」「ティーガー戦車」「パンター戦車」があるが、これら全て座右の書といっても過言ではない。値段も高い(1冊4千いくらもする)。
具体的に「ヘッツアー」を説明すると、まず戦車(じゃないんだけど)としてのイメージは、ケーニヒスティーガー(キングタイガー)がベンツSクラスもしくはBMW7シリーズに例えるならばヘッツアーはフォルクスワーゲン・ルポ程度の小型っぷりで、しかし装備は車格の割に充実しており、<主砲:48口径75ミリ砲>(アメリカの主力戦車「M4シャーマン」の75ミリ砲よりやや強力)、<遠隔操作式MG34機銃><完全密閉型戦闘室で、前面装甲は60ミリ厚の傾斜装甲><特別な改造無しで指揮戦車仕様に変更可能><エンジンルームの廃熱を利用した暖房装置>(しかもご丁寧に前方の砲手・操縦手側にもゆきとどくようにダクトを取り回してある)等、まるで優良コンパクトカーのように細かい配慮が成された戦車(じゃなくて軽駆逐戦車)なのだ。但し当然いいことずくめという訳ではない。
まず車内が非常に狭いくせに乗員が4名なので、(重戦車ケーニヒスティーガーが定員5名です。)使い勝手は相当悪い。シュピールベルガー「軽駆逐戦車」にはヘッツアーの車内写真が幾つか収められているが、シートは操縦手以外は皆猿の腰掛ばりのスツール式で、こんなんで長距離行軍は辛かろう。砲弾ラックの配置も人間工学見地からするととてもキビシイ。装填手さん御苦労さまですと申し上げたい。乗員用ハッチは2つしか無く、緊急時には砲手と操縦手は脱出不可能と思われる。ドイツ軍戦車の特徴として戦車兵の人命確保の為ハッチは各人専用に設置されるのが基本だがヘッツアーにはそんなゆとりは無かったのだ。でもこんな欠点にしても、なんだか『日本の軽自動車チック』な哀愁を感じてしまいますます好きになってしまうのであった。