旧日本海軍

このネタは1回では終わらない。今回は序章ということで。
映画「スターウォーズ」(旧3部作)で、銀河帝国軍の巨大宇宙戦艦が画面一杯に航行するシーンに圧倒されるが、この宇宙戦艦、名称は「スターデストロイヤー」と言って、この1隻の戦力で惑星1個を殲滅できるという途方も無いシロモノで、ここで連想してしまうのは、今の米海軍の空母(航空母艦)なのだ。核兵器を除外して考えた場合、世界で最も強力な兵器は米海軍の空母(特に原子力空母)である。これ1隻の戦力で1つの国家を間違いなく滅ぼせるであろう。現在のアメリカという国は海軍力1つ取っても人類史上最も強力な武力を持った国であることが明白だ。
この世界最強の米海軍と、第二次大戦において死闘を繰り広げたのが旧日本海軍なのであり、現在の空母中心の機動部隊という概念を史上初めて考案し実用化したのが、実にこの旧日本海軍なのである。
自分は旧日本軍はあまりにもダサくて好きではない。特に陸軍は絶望的で、実質的に日露戦争時とあまり変わらない装備で開戦したというのはどうしようもなく愚である。唯一褒められる点は戦車の動力にディーゼルエンジンを採用したということだけ(戦車自体の性能はひどいものだが)という救いようの無さだ。
一方海軍の方は日露戦争後、組織としては肥大化・硬直化した面があるものの陸軍ほど旧態依然ではなくむしろ兵器の開発面では世界の先端に到達しつつあった。当時強力な海軍力を保有していた国は、英・米・日・仏・伊・独であるが、空母を保有したのは英・米・日の3カ国のみであり、(独は空母「グラーフ・ツェッペリン」を建造したが、工程80%で中止)その中でも、結局第二次大戦でいわゆる空母機動部隊(複数の空母を中心に、それを護衛する高速戦艦巡洋艦駆逐艦からなる高速艦隊)を運用し、ガチンコ勝負を繰り広げたのは日米海軍だけであり、過去は勿論恐らく将来的にもこのような戦闘は行われないであろう。
旧日本海軍というと即座に「大和」「武蔵」という巨大戦艦を想起してまうが、実際のところは最大速力が27ノットと、空母と行動を共にするには少し不足で(空母に随伴するには30ノット前後は必要)、ほとんど活躍できなかった理由はこの点に尽きる。そして皮肉なことに艦歴の最も古い「金剛型」4隻は高速戦艦に改装されていたため、太平洋・インド洋を縦横に走り回っての活躍をしたのだった。(続く)