どんな音楽聞いてるか(シーズン2・その2)

ジェームズ・ブラウンJB)の続き。何故JBについて語るのかというフリで前回終わっていたが、よくよく考えてみると特に気の利いたエピソードがあるわけでもなく、強烈な思い入れがあるわけでもなく、正直どう繋ごうか悩んでしまった。
いつだったかテレビを何気なくザッピングしていたら井筒和幸監督の「ゲロッパ!」が放映されていた。いやあ西田敏行リスペクトです!ザッピングでその場面しか見てなかったんだけど、彼がステージに上がって「セックス・マシーン」を歌うシーンがあって、これは凄かった。「セックス・マシーン」、昔カラオケで歌ってみたことがあったが、有名な「ゲロッパ!(Get up)、ゲローナ(Get on up)」のリフなんかは簡単なんだけど、イントロ前の語り出しの所とか、後半JBのテンションが上がってきてアドリブっぽくまくし立てる所なんかが超早口で素人には絶対無理。でも西田敏行はそこも含めて完コピで歌いきってました。ドラマ「タイガー&ドラゴン」の噺家の役も素晴らしかったし、あと相当昔の話になるけど「池中玄太80キロ」での長門裕之との怒鳴り合いバトル『キレキャラ対決』もイイですね。・・・えーJBの話に戻ります。JBを聴こうと思い始めたのは多分大学生の頃だったか。当時Pファンク(パーラメントファンカデリック)を聴き出していて、やはりファンク創始の重要人物としてJBは押さえとかないとイカンと思ったのでしょう。『ゴッドファーザーオブソウル』『ファンキープレジデント』等の称号(自称)を持つ歴史上の大人物であり、40年ものキャリア全てをカバーすることは出来ない。自分の好みに最もハマる時代に的を絞ってCDを買い集めていった。どうやら評論家筋の評価が高いのは、JBがファンキー・ソウルという楽曲を確立した時期、「アウト・オブ・サイト」「コールド・スウェット」「アイ・フィール・グッド」等の60年代中、後期のようだが、自分的には70年代前半がハマる。いろいろ取り上げたくなってきた(長期連載の可能性)。今回は思いついた順でこれを。

1973年のアルバム「THE PAYBACK」。この時期って彼のバックバンドがバンマスのフレッド・ウェスリーを中心とした「Fred Wesley&the J.B’s」やらサックス奏者のメイシオ・パーカーJBの「相方」ボビー・バード、「客分」ハンク・バラード、JBの名デュエットパートナー、リン・コリンズ等々JBファミリーが続々ソロ作を量産、本家JBもアルバムをコンスタントに出しており、全盛期の小室ファミリーどころじゃない状態であった。で「THE PAYBACK」ですが、冒頭のタイトル曲「ザ・ペイバック」これはヨイです。浅学のくせに偉そうな語りを入れてしまうと、この曲はファンクとしてはテンポが遅めで、音数が少ない。多分ドラム、ベース、ギター2種、ホーンセクションは要所にチョロッと吹くだけでキーボード類パーカッション類は無し。あとはJBのボーカルとポイントでバックコーラス入るという感じなのだが、このかなり単調な進行で7分40秒の尺はツライのではと考えがちだが何度も聴き込んでいくうちに、じわじわと効いてくるんです。逆に、例えば「アイ・フィール・グッド」なんかはキャッチーで即効性のある曲なんですよ。同時代のアイズレー・ブラザースとかオハイオ・プレイヤーズなどは確かにカッコいいが、「聴き易い」感は否めないんだよね。表現を変えるとアイズレー達は「軽量級ファンク」で、70年代前半のJBは「重量級ファンク」なんです。特にこの「ザ・ペイバック」はヘヴィ過ぎで「この曲聴いてると気持ちいいねー」という風には軽く流せない曲です。夜中にコーヒーをがぶがぶ飲みながらじっくり聴いてるとアドレナリン値が最大になります。
余談。この時代のJBは何故か社会問題に関心があったのかそういった曲の割合が多いし、レコードジャケットのデザインにも結構取り入れている。「THE PAYBACK」では表側はどうも売春問題を示唆しているようだが、よくわからんのが裏側。写真だと見えづらいが『MIND POWER』と書かれた下の人の横顔の脳の部分がなんか数式とか化学式が羅列してある。JBは精神世界やら学術的分野にまでカラもうとしているのか?でもホント誠に申し訳ないがJBの顔面はやっぱ類人猿にしか見えないわ。(続く)