宇宙戦艦ヤマト

生まれて初めて映画館で観た映画は「未知との遭遇」だった。そして生まれて初めて観たアニメ映画は「さらば宇宙戦艦ヤマト・愛の戦士たち」だった。両方とも確か1978年公開で、小学校1年生の時ということになる。いや「未知との遭遇」はまだ幼稚園児だった気もするので77年か?調べれば判る事だがまあいいや。
宇宙戦艦ヤマト」は当時1大ブームでしたねえ。ガミラス帝国のデスラー総統による数々の妨害に遭いながらも何十万光年かなたのイスカンダル星まで放射能除去装置を取りに行くという最初のテレビシリーズ(再放送)は、当時幼稚園児ながらしっかりと見てたのでかなり憶えている。
当時は何の疑問もなくスルーしてしまったが、「宇宙戦艦ヤマト」ってあの旧日本海軍戦艦大和をリフォームして作られたんだっけ?何百年も昔の錆付いた鉄屑を再利用するくらいなら全く新たに製作したほうが手が掛からないと思うのだが。ただ、一方の記憶では「大和の残骸を隠れミノにして、地下工場で新造された」ような気もする。更に大きな問題は地球側の登場人物が日本人ばっかりだし、彼等が乗るのが「ヤマト」だし、あまりにもJAPAN寄りな設定であること。アメリカ人やロシア人や中国人は何をしていたのか?地球防衛任務は全て日本人に任せていたのか?地球防衛軍司令官も日本人だったなあ。
ガミラス星人の名前も変。冥王星基地の司令官がシュルツといって、完全に地球人っつーかドイツ人名前で、「デスラー」もなんかヒトラーっぽい。以前なにかの本に出ていた松本零士先生のインタビューで「ドメル将軍ロンメルから取った」とおっしゃっていた。身体的特徴は、『肌の色が青』という点を除けば地球人とほぼ同じなので、舌、声帯、肺の構造から類推して地球人と同様の音声による言語を話していると思われるが、人名がドイツ風なのはいかがなものか?それからデスラーが古代とフツーに会話したりしているがこれもヘン。この点は恐らく地球人より遥かに知性が進んでいたガミラス人が、地球侵略を前に地球人の言葉(多分日本語)を短時間のうちに予習していたということでしょう。
「ヤマト」自体も疑問点が多い。
1:無重力である宇宙空間には上下左右の概念が無いはずなのに「ヤマト」は見た目が「戦艦大和」に似た形状の為、下半分(船で言うところの喫水線下)に武装が全く無い。もし敵に下から攻撃されたらどう対抗するのか?
2:「ヤマト」は戦闘機隊を持っており(機種は当初はブラックタイガー、「愛の戦士たち」ではコスモタイガー)艦底部のハッチから出撃する構造になっている。空気抵抗の無い宇宙空間だから滑走路なしでフワァーッと飛び立つのはよいとして、ヤマトのエンジン下のスペースに何十機も戦闘機を収納出来る訳がない。
3:戦闘機ついでに言うとコスモゼロという「古代進専用戦闘機」だけが、艦上のカタパルトから発進するのだが、この古代進ってヤツはどんだけオイシイとこ取りというか「オレがオレが」キャラなのか?波動砲を撃つ係を独占したり、森雪とイイ仲になったり、(ついでに兄貴の古代守はイスカンダル星のスターシャとデキていた。)手柄を独り占めにした挙句艦長代理に出世するという「世界はオレ1人のために存在するのだ」状態。
4:「ヤマト」は戦闘で大損害を受けても、自前で修理を行って回復できるだけの設備があるようだが、これがハンパじゃない。主砲や対空砲座がボロボロになるのは日常茶飯事で、凄まじい例を上げると第1シリーズにおける山場、「七色星団の戦い」でガミラスドメル将軍に、波動砲発射口に巨大なドリルミサイルを打ち込まれて、艦内部の機関室まで掘り進められたり、最終的にドメルの旗艦がヤマト艦底部で自爆して(1:の心配的中)、第三艦橋は跡形も無くなったのに、次の回では全て元通りになっていた。造船所並みに大量の予備資材を持っているのか?
と、いろいろ突っ込みたくなるが、当時は純粋に毎回ワクワクしながら見ていたっけ。(続く)