ドラマ 『ありがとう』

昼間は基本、家でゴロゴロしていた学生時代、ドラマの再放送をよく観ていたもんだ。
70、80年代は「ドラマのTBS」と言われて、とにかくTBSのテレビドラマは名作だらけだった。物心ついた頃に見ていたのが山口百恵の「赤いシリーズ」、子供にとって正にゴールデンタイムと言える土曜8時の「8時だヨ!全員集合」に引き続く9時からの「Gメン75」。特に「香港カラテシリーズ」は熱かった!小中学校時代は「大映ドラマシリーズ」全盛期で、「スチュワーデス物語」「積み木崩し」「少女に何が起こったか」「不良少女と呼ばれて」そして何と言っても「スクールウォーズ」ですね。一方で「金曜日の妻たちへ」いわゆる「金妻」シリーズも見てました。一応「金妻」シリーズに含まれると思うのだが、もはや「金曜日の妻たちへ」というタイトルが変異してしまった「金曜日には花を買って」も見てました。
学生時代、(1990年頃)TBSのドラマ再放送枠は午前10時からのアヲハタジャムがメインスポンサーの枠と昼ドラの時間帯を挟んで午後2時からの枠の2つがあって、当時10時の枠では「赤いシリーズ」や「ふぞろいの林檎たち」PART1・2、や「金妻」シリーズを再放送しており、2時からの枠では「ありがとう」シリーズをPART1からPART4まで延々と放映していた。丁度このころ「渡る世間は鬼ばかり」がスタートした頃で、石井ふく子プロデュースの両作品、非常に近い雰囲気のホームドラマで、一旦この雰囲気にハマるともう抜け出せなくなる麻薬的作用があるのだ。具体的に何が麻薬的なのかは記述を避けるが、感慨深いのは、出演者が結構カブっていて、主な所では藤岡琢也山岡久乃岡本信人沢田雅美草笛光子長山藍子などで、当時昼間に「ありがとう」再放送を見て、夜「渡鬼」本放送を見て(両ドラマ、約15年のブランクがある)、「岡本信人、あんまし見た目変わってねえなあ!」などと感動していた。但しこの両作品、主役だけはカブッていない。「渡る世間は鬼ばかり」の主演は泉ピン子で、「ありがとう」は水前寺清子なのである。両者を繋ぐ架け橋的役割を担うのは実は石坂浩二。「ありがとう」では常に水前寺清子の相手役を務め、一方「渡鬼」ではナレーションを担当しているという心憎い配役なのである。
さて、学生時代熱中して見ていた「ありがとう」の再放送で、幼少時代を鮮烈に思い出した事があった。「ありがとう」の主役はまず水前寺清子チータ)。次が山岡久乃石坂浩二で、その次の重要人物がかの佐良直美である。皆さん佐良直美、ご存知でしょうか?

ショートカットの髪型に常にパンタロン姿で、絶対にスカートは穿かず、どちらかと言うと低音ボイスで「世界は二人のために」という曲等数々のヒットを飛ばした歌手で、女優としても活躍していたタレントなんですが、この「ありがとう」の再放送を見て思い出したのは幼少時代、佐良直美が男なのか女なのか区別がつかず、当時4,5歳の自分には理解不能な中性的雰囲気をどうしても感じて、この人をテレビで見る度に変な気分になっていたのがフラッシュバックされたのだ。昔不思議に思っていたのは結構人気タレントだった佐良直美がいつからか全然テレビで見なくなってしまった事。「ありがとう」の再放送を見ていて急に佐良直美に興味が湧いて、そのころ趣味としていた古レコード収集に佐良直美を追加していろいろ買い漁ったり、家にあった、漫才ブームの頃にバカ売れしたツービートの「わっ、毒ガスだ!」という毒舌芸能界ネタバラし本に佐良直美のことが載ってたなあと思い出して読んでみると、佐良直美はレズだみたいな事が書かれていて、衝撃を受けた。それで調べてみようと思い、大学の図書館に行って当時の新聞縮小版を出してきて、下段の女性週刊誌の広告をたんねんにチェックしていくと確かにそのスキャンダルで盛り上がっていた時期があり、「そうだったのかあ、だから佐良直美ユニセックスな雰囲気を醸し出していたのか」と永年の疑問が解決したのであった。
以前も言及しましたが、ホント学生時代は無駄な労力を使っていたなあ。