ゲーム&ウォッチ

nisi6hiroyuki2009-08-13

基本、風呂入ってから寝るまでのわずかな時間以外は腕時計を常時装着するようにしている。時間をやたら気にしなければならないうだつのあがらぬサラリーマンなので、もう職業病です。休日に於いても、カミさんは時計持たない派で、とかく時間を訊かれる事が多いので腕時計は手放せない。要するに腕時計はもはや身体の一部と化していて何の思い入れも無いのだが、幼少時代を思い出すと、『初めて腕時計を所有した時の昂揚感』というのは格別だった。確か小3のときだったか、ドラえもんのキャラクター時計を買ってもらって、もうこの時は寝るときもはめたまま就寝し、朝目覚めるやいなや時間を確認してニヤニヤするという日々をしばらく続けていたっけ。この頃は『デジタル腕時計』が安価で普及し始めた時代で、当初のデジタル腕時計はオール金属性の、高級感を持たせたタイプしか存在しなかったのが、ポリウレタン素材の数千円で買えるタイプが登場し、安いカシオのデジタル腕時計を買ってもらって速攻ドラえもんウォッチから卒業した。
この当時、自分が小3,4の頃(1980年頃)に登場した、時代を変えたとしか言いようの無いモノ、それが任天堂の『ゲーム&ウォッチ』だった。
ゲーム&ウォッチ』こそ、元来花札なんかを作っていた老舗玩具メーカー任天堂を、今日の隆盛に至らしめるきっかけとなったエポックメイキングな商品で、という薀蓄はこれ以上自分には無いので話を変えるが、『ゲーム&ウォッチ』って携帯型の電子ゲーム機とデジタル時計を融合し、しかも非常にコンパクトなサイズでズボンのポケットに余裕で入るので、学校に持ち込んだり友達同士で気軽に貸し借りしたりして楽しんでいたなあ。
当時所有していたのが「バーミン」と「ファイア」で、『ゲーム&ウォッチ』最初期のタイプで、表面は銀色のステンレスみたいな素材に「バーミン」は周囲が白、「ファイア」は青のプラスチックの縁取りがされていた。あと憶えているのが「マンホール」はワインレッドの縁取りだったかな。初期型に続いて登場したのが表面が金色の「ワイドスクリーン」というタイプで、幼なじみの友人Sが、ワイドスクリーンの「オクトパス」っていうのを持っていて、よく借りてやってたなあ。その後、「マルチスクリーン」という、上下2画面の、現在のDSに非常に近いデザインのタイプが登場し、ゲーム史上の名作「ドンキーコング」のアーケードゲームからの移植版(といってもモノクロ液晶画面の単純な『ゲーム&ウォッチ』だからアーケードゲームとは全然別モノだが)が特に流行った。その後もカラー液晶の、むしろLSIゲームのカテゴリーに入りそうな卓上型のヤツなどに進化したが、もうこの頃になると「ファミリーコンピュータ」が登場しており、家庭用TVゲーム機の時代へと移行するのである。
ゲーム&ウォッチ』が遠い過去の記憶となった大学生の頃、無性に『ゲーム&ウォッチ』が欲しくなった事があった。理由はかなりバカっぽくて、もし見知らぬ通行人に時間を聞かれた時、「えーっと、ちょっと待ってください」と言ってズボンのポケットからおもむろに『ゲーム&ウォッチ』を取り出して、「ハイ、11時55分です」と答えるという、『粋』なやり取りをしたかったというくだらない理由だった。でも『ゲーム&ウォッチ』ってゲームと同等に時計としての機能も持ち合わせている訳だから、こういう使い方は至極正しいと言えるのではなかろうか。