龍馬伝

今回も、昔の記憶バナシはやめて、現在ハマッている事について取り上げます。
ここ数年、ほとんどTVを観なくなってしまい、帰宅してから23時台のニュース番組をザッピングして見るのが大半で、あとは、時間があれば水曜「シルシルミシル」と木曜「アメトーーク!」、金曜「タモリ倶楽部」をチェックする位(全部テレビ朝日だ)。それから月曜日に22時までに帰宅出来た場合、「しゃべくり007」。これが今一番面白いかなあ。そう考えるとそこそこTV見てるような気もするが、ドラマは全く観なくなってしまったし、テレビで放映される映画も、ここのところ地上波ではまず観たい映画がなくて、NHK・BSでたまに「そういえばこの映画観たかったんだよなあ」的なのを月1本程度観られればいいほうである。
現在毎週欠かさず観ている番組は唯一、大河ドラマ龍馬伝」のみ。しかしそれすらも、家庭内勢力的には「イッテQ」になってしまう為、基本は録画して夜中にひっそり見るスタイルとなる。
しかし「龍馬伝」は最高!もともと司馬遼太郎の「竜馬がゆく」が愛読書だったので(龍馬伝は「竜馬がゆく」とは無関係の、大河オリジナル作品だが)、坂本龍馬の生涯を大河で取り上げてくれる事がまず期待度高しであり、実際放送が始まると、映像的に幾つかの新しい試みを取り入れ、ストーリー的にもポイントの高かった前作「天地人」と比べても、全然レベルの違う素晴らしさで(龍馬好きの贔屓もあるが)、マジで毎週これを楽しみに生きていると言っても過言ではない。
要因はハッキリしたものが幾つかあって、書き連ねてみる。
1:映像・美術の革新性。  ビジュアルが今までの大河と全然違う。映像演出手法として新機軸を打ち出した「天地人」でも、基本はセット撮影で、光源がどうしてもソレと判ってしまう限界があった。「龍馬伝」の場合は、まず野外ロケが多いのと、屋内シーンも、実在の建物を使用していると錯覚する程リアルにセットが作られており、特に岩崎家、武市家、千葉道場、寺田屋等はセットではなく、実際の古い家屋を使っているのか?と疑ってしまう位だ。カメラもこれまでのものと違い、何と言うか、人間の目が感じる自然光を上手く再現して映像化しているようなカメラで、プログレッシブカメラというモノらしい。
登場人物の服装が埃っぽく汚れていたり、いわゆる「道中焼け」と言われる日焼けした汚い顔つきだったり、月代の剃り方も当時の流行をきちんと考証していたり、とにかく幕末の武士達の写真そのままのリアルさで、同じNHKの「タイムスクープハンター」のような徹底したこだわりを感じる。
2:キャスティングの妙   自分は大河ドラマ史上最高のキャスティングは「新選組!」(04年)だと思うのだが「竜馬伝」はこれに次ぐ素晴らしいキャスティングだ。最初龍馬役が福山雅治と知った時は「ちょっとカッコ良すぎな龍馬になるんじゃない?」という心配があったものの、「龍馬伝」始まってみるとこれが全然イイ。坂本龍馬は意外と坊ちゃん育ちで、そのボンクラな面も良く出ているし、体型的にも結構龍馬のイメージに近い。当時の平均身長よりかなり高かった龍馬は、現代では福山くらいが丁度良いのだろう。現時点ではまだ飄々とした魅力のみの福山龍馬だが、今後のストーリー展開で策士として大化けする龍馬をどう演じるのか楽しみだ。
どうしても注目せざるを得ないのは岩崎弥太郎役の香川照之。この人の役作りは、10数年前、「Shall We ダンス?」時代の竹中直人の再来かと思わせる程で、「地下浪人(じげろうにん)」という、武士というよりホームレスに近い境遇の極貧ぶりを見事に演じ切っている。「竜馬がゆく」でもアクの強い性格だった弥太郎だが、物語後半、出世して長崎留守居役となり、龍馬たち海援隊の連中とどう絡んでゆくのかこれも楽しみ。
意外な存在感を発揮しているのが土佐の大殿様、山内容堂近藤正臣)。史実の容堂は慶応年間で40歳くらいで実は若いのだが、「龍馬伝」では白髪の老人として設定されていて、登場場面は少ないが、出てくると場の空気が引き締まるような重みがある。近藤正臣特有のあのセリフ廻しを土佐弁でやると、これが妙に凄味があり、声質は全然違うが、ダース・ベーダーがしゃべっている時みたいな、恐ろしい緊張感を人に与える。 大河ドラマ好きで有名(?)な松村邦洋が、さっそく容堂公のモノマネを披露したセンスはさすが!普通に考えれば龍馬か弥太郎のモノマネが鉄板なのだろうが、容堂に目をつける所がコアです。
物語前半での大きな存在である武市半平太を演じた大森南朋は、こちらは芝居達者なのは承知の通りで、まず期待通りだったし、半平太と入れ替わるように登場するはずの、物語後半のビッグネーム中岡慎太郎上川隆也が演じるようなので、堅物キャラ中岡慎太郎にはピッタリの配役だと思う。
あと「カッコええなあ」と思ったのが新撰組局長・近藤勇役の原田泰造。この人は「篤姫」(08年)での大久保一蔵役も、脇役ながら強い印象があったし、役者に転向した方がいいのではと思うほどだ。近藤勇も、のちのストーリーで龍馬と関わってくると思われるので、楽しみ。・・・こんな調子で書き続けると本当にキリが無いので、以下割愛するが、(登場人物ほとんどが素晴らしい。女性陣では乙女姉やんも、寺田屋お登勢も、平井加尾もイイ。おりょう役の真木よう子は、「竜馬がゆく」のおりょうとはだいぶ違うが、演技は凄いと思う。今後いろんなエピソードが出てくるので目が離せない存在だ。)
個人的にビミョーだなあと感じたのは勝麟太郎役の武田鉄矢。芸能界屈指の坂本竜馬ファンだから、このドラマで何らかの役で出演するとは思っていたが、勝海舟役はどうかしら?
実は勝海舟役って適役が難しいのかも知れない。「篤姫」では北大路欣也が演じたが、これは貫禄ありすぎ。「新選組!」ではまさかの野田秀樹が演じたが意外とマッチしていた気がする。武田鉄矢の場合、まずルックス的に「ちょっと違う」かなあと。勝海舟は咸臨丸艦長時代の有名な肖像写真があるので、どうしてもそれと比較してしまう。海舟は小男ながら顔立ちは端整で、武田鉄矢の顔つきとはかなり違う。もう1点重大なのは、海舟は身分の高い旗本ながら、元来下級幕臣出身ゆえ、日常べらんめえな江戸弁を使うのが有名で、「龍馬伝」でもきちっとこれが演出されているものの、どうしてもイントネーションが違うんだよねえ。自分の脳内キャスティングによると、風貌、語り口調は20年前の、「北野ファンクラブ」全盛時代のビートたけしが一番近いと思うが、今はキツイでしょうね。ただフォローすると過去自分が観た勝海舟を演じた俳優では「竜馬伝」の武田鉄矢一番イイとは思います。
もっとシンプルにまとめようと思ったのだが、久々に熱が入ってしまい、相当長くなりました。中途半端ではありますが、ここで一旦中断して、次回に続きたいと思います。