ガンダム人種論(その3)

ジオン一家について検証した後は、「ザビ家」についても書かねばなるまい。スペースノイドが人類の過半数に達した宇宙世紀の人類の革新を説く政治家ジオン・ズム・ダイクンの腹心であったデギン・ソド・ザビは、陰謀説も囁かれるジオンの急死の後サイド3の実権を握り・・・というのはガンダムを知る者にとっては基礎常識の話であるが、要するにデギンとその一族はサイド3という国家のロイヤルファミリーに成り上がったのである。「ザビ家」のルーツとは何処か?デギンの風貌および苗字の「ザビ」という響きから類推するとこれはアラビア系ではなかろうか?しかしデギンもジオンと同様、子供達と顔が全然似ていないという問題がある。唯一ドズルのみ(不幸にも)オヤジ似だが、ギレン、キシリア、ガルマは別系統の顔で、さらに細かく見るとギレン−キシリアが最も似ており、歳が離れていて異母兄弟説がある末弟ガルマとはまたテイストが違う。デギンの奥さんの顔が観てみたいものだが(デギンと子供達の顔を比較して想像するに、相当な美人だった筈である)、なにぶん資料が無いので勝手な推測をするしかないが、アラビア系でもキシリアやガルマのようなヨーロッパ的な風貌の人はいるし、広い意味ではアラブ系もヨーロッパ系も同人種なので、やはりザビ家はアラブ系で決まり、でしょうか。傍証として、宇宙移民の人種構成は白人が比較的少ないと言われている。地球に残った人達は一種のエリート階層とされており、「機動戦士ガンダム」の世界観においては、地球連邦側の構成人種に欧米系や日系人が比較的多く、ジオン公国側に白人が極端に少ない点が挙げられる。余談だがザビ家には「ルックス的に子供は父親に似ない」という伝統があるのか、ドズルの娘ミネバも、(幸いな事に)母親似でした。
他にジオン公国軍で、思いつくままに書き連ねましょう。判りやすい所では、ジャブロー戦でゾックを操ったボラスキニフ、これはスラブ系ですね。同じくジャブロー戦で、シャアの赤ズゴックと一緒にガウから降下した青ズゴック2機のパイロットはリー・ホアンとジッタル。中国とフランスですね。ちなみにこの2人、降下する際シャアから「私から離れるなよ」と命令されておきながら、シャアが対空砲火を俊敏な動きでかわしたもんだから、命令どおりシャアのすぐ傍に付いていた為に身代わりにビームが当たって戦死してしまうというあんまりな最後でした。ジャブロー戦で忘れてはならない有名キャラは隠密特殊部隊アッガイチームの「赤鼻」。しかし名前が明らかにされないままガンダムにやられてしまうので国籍不明。
ランバ・ラル隊はどうだろう?映像で確認出来る限りにおいては、東洋系、アフリカ系はいないようだ。ランバ・ラルは中東ぽい風貌だが名前からは推測不能ホワイトベースの捕虜になり、セイラに赤い彗星の情報を教えたにも関わらず、脱走を通報された挙句、オムルのバズーカに吹っ飛ばされた後セイラに「気にすることはないわ。」と言い放たれてしまう可哀想なコズン・グラハム少尉は苗字と風貌からすると英国系?ただし育ちの良さそうなブライトさんと違い、パブとサッカーをこよなく愛するブルーカラータイプとみた。ラルとハモンの忠実なる部下クランプ中尉は国籍うんぬんより顔がヤッターマンボヤッキーに激似なのが気になった。ラルの死後ハモンさんが頼りにするタチ中尉はフランス系でしょうか?(映画監督ジャック・タチからの連想)ハモンさんは?そもそもこの人、名前に2説あり、「クラウレ・ハモン」と「ハモン・ラル」。ハモンって名前なのか苗字なのか?
国籍が断定できる登場人物では、ア・バオア・クーでギレンを殺したキシリアにすかさずフォローを入れてその場の空気を回復させたトワニング准将。空気を読む達人で死ぬ間際にもシャアに気の利いた一言を放っている。合コンには絶対必要な人材でしょう。この人は英国系ですね(トワニング紅茶から連想)。それからマ・クベ。これは「馬」(マ)さんでしょう。北宋の磁器とかに詳しいし、実戦ではやたら策略を巡らすあたりキャラ的に三国志に出てきそうな狡猾な策士(陸遜とか)っていう風に考えられなくもない。
危うく忘れるところだったが基本中の基本はララア。もう見た目が「宇宙世紀にこんな人いるんかい?」と突っ込みたくなる程コテコテのインド人ですよね。